私の試練 義理の父 実話です。

私は生まれてこのかた実の父を見たことがない。

母は私が小学校高学年くらいに再婚し、中学生から一緒に義理の父と住むことになった。

生活が180度変わった。中学生の時は何もかもが新鮮だった。

しかし、段々と父との相性が悪いことに気づいてきた。父は実の子供を持ったことがないから、いきなり中学生の子を持ち、色々不器用だったことは何となく感じていたし、逆に可哀想だとも思ったこともある。でも、他の人に指摘されても素直に認められるのに、なぜか父の指摘の仕方がどうも受け入れられなかった。

高校生になり、大学受験を意識しだすと、父との確執が激化してきた。毎年大晦日は決まって家族喧嘩。そして家出。おめでたい日に限り
喧嘩は激しかった。私は追い詰められリスカし、全身傷だらけになっていた。唯一友達が私の救いだった。本当にありがとう。

とうとう精神的におかしくなった。精神科にかかるようになり、そこでもらう睡眠薬を10錠程一気に飲み、脳の中が弾けた感覚と共に眠り込んだ日があった。

大学受験では第一志望に受からず、浪人を決めた。父の目を気にするようにずっと予備校にこもっていた。というか、私は何のために高みを目指しているのか、しっかり理解してなかった。気に入られるため、人から一目置かれたいだけで無意識に浪人を選んでいた。

そんなんだから、浪人しても第一志望には受からなかった。でも、大学には入れた。鬱憤を晴らすため、アルバイトと授業で毎日目が回るほど忙しく自分を追い込んだ。それと、気難しいスポ根な父に何も言われないようにするために。

限界がきた。私は片耳の聴力を完全に失った。
水と電気のように相性の悪い父から逃げるように、追い詰められないようにしていたのに、自分自身を追い詰めていた。でも、足を止めると父から精神的な攻撃を受ける。なら、自分で追い詰めた方がいい。

私は一人っ子だし、母は働きウーマンだったし、今まで父もいなかったので、母が再婚し、一般的な家庭に自分がいられたことが最初は嬉しかった。でも、なんかハリボテだった。誰もがこんなものなのか。

悲劇のヒロインを演じるつもりは無い。
ただ、父は私が期待とは違う人間だし、なんせ、父の兄弟の子たちは優秀な人ばかりだったので、父のプライドがメタメタだったのだろう。私が学級委員会に入っていたり、良い成績を取ると凄く優しくしてくれた。でも、気に入られるためだけにしてきたことに限界を感じていた。

私はかなり不器用だし、未熟だ。世に言われる成功を達成するまでの過程も上手くいかないし、結果も勿論上手くいかないことが多い。

父とは上司と部下のような関係だったから、家に帰っても安心できなかった。父は突然できた大きな子供を持ったから無条件の愛なんて理解していない。別に貰おうとなんてしていないし、わがまま言うつもりもない。

でも、分かり合えればお互い、上手くいっていたはずだ。2020年も半ばを過ぎ、時代が変化してきている今、そんな父が私の目の前から消えようとしているのを感じる。

母は離婚を考えている。私は社会人になろうとしている。今まで、一緒に過ごしていたのが、それぞれ別の方向を向き始め、新しい人生を歩もうとしている。